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ID&E Week 2023 - ABLED

対話で理解を深める合理的配慮

障がいを持つ仲間と、職場や地域社会で共に生きていくために必要なこととは

メドトロニックは ID&E(インクルージョン、ダイバーシティ、エクイティ)への揺るぎない取り組みを進めています。それは機会に対する障壁をなくすために努力することです。そして、すべての従業員が自分の居場所を実感し、尊重され、自分らしさを大切にされる文化を促進することも意味しています。

2023年11月8~14日を「ID&E Week」とし、さまざまなイベントを集中的に実施しました。介護と仕事、LGBTQ、ジェンダーバイアスなど異なる9つのトピックを学び、「私に何ができるのか」を一人ひとりが考える機会となりました。

障がいは個人ではなく社会にある

合理的配慮とは、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、誰もが当たり前に自由に行動できるよう、障がいを持つ人の視点で環境の変更や調整をすることです。2021年に障害者差別解消法が改正され、2024年4月には民間事業者も合理的配慮の提供が法的義務となります。社会的注目度の高いトピックスは社内での注目度も高く、オンラインからも多くの従業員が参加しました。

前半は、合理的配慮について外部講師による講演会を実施しました。講師の冨樫正義氏はこの概念が広く共有されるきっかけとなった障害者差別解消法や、民間事業者への義務化によって何が変わるのかについても具体例を挙げながら解説しました。

冨樫氏は「こうした意識を変えるのに欠かせないのが、障がいは“個人”ではなく“社会にある”という考え方です」と指摘。障がいのない人を基準に作られた“壁”を取り除くのは社会の責務であり、壁をなくすにはどうすればよいか、全ての人が自分ごととして考えることが大事だと述べました。

ID&E Week 2023 ABLED 講師:冨樫正義氏 講師:冨樫正義氏

自助努力から、話し合って困りごとを解決へ

第2部は障がいを持つメドトロニックの社員とその上司が、社内の合理的配慮の現状についてオープンに意見を交わしました。

先天性右腕前腕欠損のため9歳から筋電義手を使っている山本邦光さんは、タイピングに大きな問題はないものの「外付けのキーボードがあれば仕事の効率化が図れると上司に相談したところ、購入を快諾してもらい、ありがたかったです」と話します。

脳性麻痺のため四肢に麻痺があり車椅子を利用している三上勇輝さんも、タイピングや電話応対に不安があったと言います。「最初にタイピングは遅いと話していたので、周囲から『ゆっくりでいいよ』と言ってもらっています。私の声が聞き取りにくい場合があり、何度か聞き返してもらったり、チャットを活用したりすることもあります。懇親会は車椅子利用が可能な店を探してくれるなど、ハードとソフトの両面で配慮してもらっています」

ID&E Week 2023 ABLED 山本さん 山本さん

先天性かつ重度の感音性難聴で、6年前から人工内耳を装着する石川寛和さんの悩みは、外見からは「できること」「できないこと」が分かりにくいこと。特に苦労したのは外部とのやり取りで、「聞き取れなかったことは上司の古塚さんに確認の電話をお願いしています」。ただし、不明点は放置せず、仕事上の行き違いがないように対話を音声認識アプリで文字化して、チャットでの確認も徹底しているそうです。

自助努力から、話し合って困りごとを解決へ

サポートする側の古塚高美さんは「石川さんはとても頑張り屋で、私がサポートすることはないくらい、何でもできてしまう人」と表現します。「今まではそんな石川さんに甘えていた部分もありました。今後は、障がいを持つ方の自助努力だけではなく、どうすればできるかを話し合い、より良い仕事環境を構築できるよう努めます」

石川さんは「古塚さんは『やってみよう』と言ってくれます。できないことも、対話を繰り返すうちに理解が深まり、工夫次第でできることが増えました」と言います。

山本さんと三上さんの上司の肥後忠典さんは、三上さんのタイビングについて「チャットを打つのは私より早い」と明かします。また、急ぎの郵送物の袋詰めを、 山本さんに依頼していいのかと迷ったとき、山本さんが快く引き受けてくれて助かったというエピソードを披露しました。

「できない」と決めつけず、対話によってできる方法を考えてくれる上司の姿勢が、3人の働きやすさに繋がっているようです。

ID&E Week 2023 ABLED 古塚さん 古塚さん
ID&E Week 2023 ABLED 肥後さん 肥後さん

対話から生まれる相互理解

合理的配慮の実現には話し合いが欠かせません。困りごとは人それぞれで、個別のニーズに応じることが合理的配慮の基本です。しかし、できないという決めつけや、周りからの過度な配慮に、モヤモヤを抱えてしまうことも過去にはあったと言います。

山本さんは高校時代、サポートについてくれた先生が「できないだろう」とすべて自分でやってしまい、窮屈さを感じたそうです。「最初は何も言えませんでしたが、担任に相談し、自分が求める支援だけをしてほしいとお願いしたところ、理解してもらえました」

逆に、三上さんは「車椅子の自分には難しい」と決めつけ、卓球部への入部を諦めかけたことがあったといいます。「当時の部長が、体育館までの階段がネックなら、自分たちが車椅子を抱えて上るから、一緒にやろうと声をかけてくれたんです。周囲の協力を得ればできることは広がると思いました。それ以来、自分でハードルを作らず、できる方法を考えてやってみる、という考え方に変わりました」

石川さんは人工内耳を埋め込んだ後ビジネススクールへ入学した際、先生と「できないじゃなくて、やってみよう」という話し合いを重ねたといいます。「まずはやってみないと、何が正解か不正解かもわかりません。結果が出てから、すぐに改善することを学びました」

ID&E Week 2023 ABLED 石川さん 石川さん
ID&E Week 2023 ABLED 三上さん 三上さん

その人に合わせた配慮で、強い組織をつくる

学生時代から周りと話し合い、問題を一つひとつ解決してきた3人の経験は、それぞれの仕事にも活きています。

上司として、合理的配慮を提供する側だった肥後さんは「障がいのある人と一緒に働くことで自分のバリアがなくなり、今は一緒に働くことを楽しませてもらっている」と話します。

古塚さんも「石川さんがいるおかげで、オンライン会議は基本カメラオンになりました。視覚から入る情報は思いのほか大きく、コミュニケーションが活発になった結果、チームの結束が強まった」と言います。

イベント参加者からは「なかなか直接尋ねづらいことを、障がいをもつ社員の方々から聞くことができて、とても良い機会でした」「『決めつけない』というワードが印象に残りました。すべてのコミュニケーションにおいて、忘れてはならないことと再認識できました」といった意見が寄せられました。

インクルーシブな組織づくりでは、障がい、介護、育児など、その人に合わせた配慮が求められます。そのカギとなるのはコミュニケーションです。合理的配慮を必要とする人と提供する人が、共に環境を整えていく。そこにまだ「正解」はありません。

双方がオープンマインドで対話をして、互いを理解することがスタートラインです。障がいのある人もない人も、その思いを強くしたイベントとなりました。

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