縫合の基本

 

針の把持と運針(※下図参照)

針折れ防止のために・・・

  • 構造的に強度が低いため、針先や着糸部は把持しない。特にループ針は着糸部で糸が二重になっているため強度が低い。
  • 同じ部分を何度も把持すると、針に損傷が生じ強度が低下して、破損のきっかけとなることがあるため注意する。
  • 捻る操作はしない。針が捻じ切れる。
  • 組織厚に合った針の大きさを選択する。組織の厚さよりも針長が短いと、刺通操作の際に針先を把持せざるを得ないことがある。針が小さい場合には大きめの針を選択する。

 

愛護的操作を心掛け、組織の挫滅を避ける

組織を鑷子(せっし=ピンセット)でつまむ際は、可能な限り最小限の範囲をつかみ、必要以上に強くはさまない。

 

層・層縫合

組織にはいくつかの層があるが、筋層=筋層、粘膜層=粘膜層といったように、同じ層同士を合わせることを心掛ける。
例えば正中切開創は、深い層から腹膜・筋膜(筋肉)・皮下組織・真皮・表皮という層の構造となっているが、それぞれの層同士が合わさるよう一括又は数層に分けての層々縫合を行う。

 

死腔(Dead Space)をつくらない

本来の生体構造にはない空間である死腔が形成されると、感染源となる浸出液、壊死組織がたまり、創傷治癒を妨げることになる。

  死腔発生例

  • 不十分な結節縫合による筋肉層のすきま
  • 腫瘍を切除した後の空隙

 

死腔防止のために・・・

周囲組織の過度の緊張のない縫合などを工夫する事が必要。死腔形成が予測される場合には、ドレーンによる排液、圧迫によって外圧を加えるなどで予防を試みることがある。

 

止血

血腫は重大な感染源となるため、丁寧に止血を行い血腫ができないよう充分注意する。

※針の把持と運針 - 図

 

※針の把持と運針 - 図

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