冠動脈疾患
治療を受ける
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治療を受ける
毎年、世界中で何百万人という患者さんがステント術や冠動脈バイパス手術を受けています。ステント術は低侵襲なので、ほとんどの患者さんが翌日には退院できます。冠動脈バイパス手術には心臓を動かしたまま手術ができる「OPCAB手術」という方法があります。患者さんが治療法について正しい知識と理解をもつことが、治療への第一歩になります。
まず患者さんが処方された薬を正しく服用すること、また減量や生活習慣の見直しを通して、危険因子を減らすことができます。しかしながらそれだけでは十分な効果が得られない場合もありますので、もし胸痛などの自覚症状があれば、主治医または循環器専門医にすぐに診てもらうようにしましょう。
そして内科的治療か外科的治療かは、年齢、心臓の状態、冠動脈病変の程度、持病や既往歴といった様々な因子を考慮して、循環器専門医が判断します。 さらに検査や画像診断の結果から、医師は薬物治療、経皮的バルーン血管形成術、ステント術、冠動脈バイパス手術の中からどれが治療として最適な治療方法かを判定します。
ステント留置術は冠動脈疾患の治療法として普及しており、毎年世界中で200万人以上の患者さんがこの治療を受けています。
ステント留置術の適否は以下を検討して判断されます。
一定条件下においても、心機能が弱っていたり、糖尿病やその他の合併症がある場合など、冠動脈バイパス手術が最適とされる場合もありますので、主治医とよくご相談ください。
冠動脈疾患の治療には、患者さん自身が取り組めることもたくさんあります。正しく薬を服用すること、適切な食事管理と適度な運動を続けること、生活習慣を見直すことなども効果が期待できます。しかしながら、狭窄・閉塞してしまった冠動脈を、自らの努力だけで回復させることはできません。
心筋梗塞の所見や自覚症状が認められる場合には、主治医がすぐに循環器専門医へ紹介するでしょう。循環器専門医とは心臓疾患の専門医です。その医師は 心血管系の異常を調べます。いくつかの検査結果から、外科的治療である冠動脈バイパス手術が勧められることもあります。
循環器専門医は冠動脈の状態を詳しく見る検査を行います。これは心臓カテーテル検査と呼ばれるもので、X線透視下にカテーテルから造影剤を注入して、冠動脈各枝の血流がどの程度阻害されているのかを確認するものです。
検査で冠動脈の状態を確認したうえで、外科医はCCAB手術かOPCAB手術かを決定します。
CCABとは、人工心肺装置を使用して手術をするという意味であり、手術中の心臓は完全に停止され、この装置が術中の呼吸と血液循環をサポートします。
OPCABとは、心臓が動いたままの状態で手術を行うという意味であり、外科医はスタビライザーと呼ばれる器具を用いて吻合しようとする部位を限局的に固定し手術を行います。
下記のような条件があり、主治医はこの条件がどれだけ合致するか、また手術によって起こり得るリスクを検討します。そして人工心肺を使用しない手術が望ましいと判断した場合、その患者さんにはOPCAB手術を勧めます。
主治医はこれらを考慮した上で、最適と考えられる治療法を勧めます。
冠動脈疾患の治療を受ける場合には、各専門分野の医師や病院スタッフがそれぞれの治療段階において関わることになります。治療方法にもよりますが、循環器内科医、心臓外科医、放射線科医、麻酔科、看護師、他にも専門家が必要になります。
冠動脈疾患の治療であるステント留置術は、治療法の始まりから完了までの間、さまざまな医療従事者が参画します。
心臓および循環器の治療を専門とする内科医で、診察や検査を行って病状の診断を行い、適切な治療法を検討し、服薬等の内科的治療のみでは治療が難しい場合には、必要な治療の専門医に紹介を行います。
特にカテーテルを用いた経皮的冠動脈形成術に習熟した循環器内科医で、バルーン形成術、ステント留置術などの治療を行います。
看護師は治療の場で常に重要な役割を果たしています。医師の治療行為を補助するとともに、患者さんのケアを行います。
カテーテル治療室(カテラボ)では、X線を用いて冠動脈の造影や透視を行うため、診療放射線技師が装置の操作や機器の管理に関与します。
冠動脈バイパス手術は、始まりから完了までの間、さまざまな医療従事者が参画します。検査結果にもとづいて、循環器専門医がどの治療法がもっとも適しているかを勧めてくれるでしょう。そして手術を受けることになれば、心臓外科医、臨床工学技士、放射線科医、麻酔科医、看護師などの専門家も関わることになります。
循環器内科医は心臓や血管治療の専門家です。専門家として患者さんの心臓疾患の原因を特定するためにさまざまな検査を行ないます。もしその心臓疾患が冠動脈に関わるものであれば、まず生活習慣を見直すこと、そして必要と判断された治療法、薬物治療や内科的治療を勧めるでしょう。しかし薬やバルーン、ステントによる内科的治療は適切でないと判断された場合、循環器内科医は心臓外科医に外科手術を依頼することがあります。
心臓外科医は心臓疾患の外科治療の訓練を特別に受けた医師です。外科医は長年の訓練によって心臓や血管の手術法、その必要な技術を習得しています。
心臓の手術では心臓を止めて行う場合があります。臨床工学技士は人工心肺装置の専門家であり、手術のために一時的に拍動を止めている間、人工心肺を操作して全身の血液循環を維持します。手術が終了すると外科医と協力して速やかに心臓が動き出すようにします。
麻酔科医は麻酔についての専門家です。患者さんの痛みや手術が安全に行なえるようコントロールしています。彼らは術前、術中、術後と手術のあらゆる場面で携わっています。
放射線科医は循環器内科医や心臓外科医と協力して冠動脈造影などの検査を行い、治療をサポートしています。
手術室看護師は外科手術チームにとって大変重要な役割を果たしています。手術中はもちろん手術の準備から患者さんが手術室を出るまでの間、すべての段階で責任をもって治療に関わります。また手術中は外科医をサポートしています。
資格をもった栄養士は、手術前から回復期において必要な栄養や食事についてアドバイスをしてくれます。また、より早い回復に必要な栄養について術後のケアを行う看護師にも情報を提供しています。
理学療法士は手術後の回復をサポートするため、主治医とともにリハビリテーションに関わり、あなたに適したリハビリ運動の指導や体力の回復についてのアドバイスをしてくれます。
緊急手術でない限り、どんな手技・手術が予定されているのか、事前にどんな準備が必要か知ることができます。医師の説明を積極的に聞いて理解を深めましょう。
ステント留置術は、特殊な設備を整えたカテーテル治療室で、カテーテル治療専門の循環器内科医によって行われます。
治療に際しては、鼠頸部、手首、腕などからカテーテル挿入に適した部位が選択され、その部位の剃毛、消毒、局所麻酔が行われます。
本治療に先立ち、別途服用している薬もしくは下記に該当する場合は、医師に申告して下さい。
ステントは、経皮的冠動脈形成術と同様にカテーテルを用いて動脈に挿入されます。
はじめに造影を行って冠動脈狭窄病変の部位と状態を確認し、ステント留置の必要な部位が特定されます。
術後は経過観察のため短期間の入院となります。術後の服薬については主治医の指示を厳守してください。
冠動脈バイパス手術によって、毎年何十万人もの命が助かっています。そして日本では、人工心肺を使用しないOPCAB手術が積極的に行われています。心臓を動かしたままどうやって手術をするのか、次に詳しく紹介します。
今日では、手術の適応となった患者さんは外来で手術のための検査や準備をしています。まず胸部のレントゲン、心エコー、心電図、心臓カテーテル検査を行って、心臓のどこに問題があるかを詳しく調べます。心エコーにより心臓に問題のある部位を特定します。また心臓カテーテルはX線透視下で冠動脈のどこがつまっているかを確定します。これらの検査によって外科医は患者さんの健康状態と、心臓のどこに問題があるのかを知ることができます。
さまざまな専門医や看護師が手術をサポートするチームとして編成され、手術についての情報や知識を提供してくれるでしょう。わからないことは質問し、心配なことがあれば相談して不安を取り除きましょう。
OPCAB手術の場合、通常は3~6時間の手術になります(手術時間は何箇所にバイパスが行われるかにもよります。)全身麻酔になりますが、心臓は手術中も動いています。
まず外科医は胸骨の真ん中を切開し、心臓を露出させます。次に外科医は体の他の部位から血管、グラフトを採取します。
そして外科医はグラフトの片端を閉塞している冠動脈の上側に、もう片端を下側に吻合します。グラフトは心臓が動いたまま吻合されるので、外科医はスタビライザーを用いてその吻合部位だけを固定します。さらに心臓を持ち上げ吻合部位を見やすくするハートポジショナーを用いることもあります。グラフトがすべて吻合されると、胸の切開層は閉じられて手術が終了します。
入院期間は病院によっても違いますが、通常はICUとよばれる部屋で手術直後の状態を厳重に管理します。その後状態が安定したら、一般の病棟に移り 退院するまでを過ごします。OPCAB手術はCCAB手術に比べて短いICU滞在期間であると言われています。
看護師や医師、またリハビリテーションスタッフは、傷のケア、食生活、薬、退院後の生活についての疑問に適切なアドバイスをしてくれます。
OPCAB手術はCCAB手術に比べて短い入院期間であると言われています。退院後も、自宅でどんなリハビリを続ける必要があるかを指導してくれるでしょう。
手術を受ける前に、医師はいくつかの検査と既往歴を確認し、どんな手順で手術を行なうのかを説明します。疑問を医師に尋ねる絶好の機会ですので積極的に質問しましょう。正しい知識と理解があれば、安心して治療を受けることができます。
ステント留置術を受けるにあたり、医師にお尋ねになりたいことがたくさんあると思います。ここではその一部にお答えしますが、詳しくは専門の循環器内科医あるいは主治医にご相談下さい。
冠動脈疾患があり、薬物治療や食事・運動の管理だけでは病状を十分に管理することが困難な状況にあるからと言えるでしょう。
冠動脈の狭窄・閉塞病変を描出する画像診断法であり、適切な治療法や治療部位の選択に必要な情報を得るためのものです。
経皮的に冠動脈内にバルーンを挿入して狭窄した冠動脈の拡張を図る手技を言います。
多くの患者さんの治療において、バルーンを用いた冠動脈の拡張術だけでは十分な効果が得られない場合があります。このような場合に冠動脈の拡張状態を維持する目的で、病変冠動脈に留置する小さな金属製の網状のチューブが冠動脈ステントです。ステントは折りたたまれた状態でカテーテルを用いて経皮的に病変部まで運ばれた後、内側からバルーンで拡大されて血管内に留置されます。
治療を安全かつ確実に行うため、血液検査や胸部X線撮影、心電図など、種々の術前検査が行われます。
全ては主治医、治療を行う専門医の指示に従い、不明な点があれば遠慮なく確認するようにしましょう。
下記に該当する場合は、予め医師に申告して下さい。
おそらく下記の理由から、主治医は冠動脈バイパス手術を勧めていると思われます。
詳しいことは主治医に確認、相談してください。
バイパス手術は冠動脈疾患の外科的治療として確立しており、閉塞した冠動脈を迂回して血流を確保する方法です
外科医はグラフト(冠動脈につなぐための動脈や静脈)を患者さんの足や胸から採取し、そのグラフトを用いて片端は閉塞した冠動脈病変部の上側に、もう片端はその下側に吻合されます。この方法によって血流が滞っていた心筋部分に、再び血流を確保することができます。
従来の冠動脈バイパス手術はオンポンプと呼ばれ、完全に心臓を停止して手術を行なうので、外科医はより確実にバイパス吻合をすることができます。手術中は人工心肺装置があなたの代わりに血液循環と呼吸の機能を担っています。
心臓を動かしたまま手術をするオフポンプと呼ばれるOPCAB手術は、手術中もずっと心臓が拍動しています。この動いたままの心臓に血管を吻合するので、できるだけ手術がし やすいようにスタビライザーと呼ばれる器具を用いて、吻合しようとする部位だけ固定します。またハートポジショナーと呼ばれる器具は、心臓の位置を動かして目標とする冠動脈部位を露出するために使われます。
人工心肺装置とは:
人工心肺装置では、全身を循環した血液が専用の器具に回収され、特別なフィルター濾過によって二酸化炭素や他不要物が取り除かれます。酸素が添加され、必要な温度に調節された血液は、血液循環回路を経て、再びゆっくりと全身血流に戻されます。
手術により狭心症状が改善し治療効果が実感できるまでの期間は人により異なります。主治医が患者さん個々の術後の経過を観察し、その評価に基づく適切な指導を行います。
術後の回復には、患者さんによって異なりますが、通常は1~2ヶ月を要します。この間、体力は徐々に回復し、次第に通常の日常生活に復帰できるようになります。
また回復の速さは、受けた手術の種類、患者さんの全身健康状態や傷の回復具合などによって異なりますが、一般にリハビリテーションは回復を早めます。
手術後も薬を飲む必要がある場合もあります。それは患者さんの健康状態や手術前の冠動脈病変の状態によって異なります。主治医が必要と判断すれば薬が処方されるでしょう。
本サイトの内容は、医師の診察に代わるものではありません。病状や治療に関しては、必ず主治医の診断を受けてください。