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慢性痛

疾患の概要

慢性痛について

慢性痛に苦しんでいる方、それはひょっとしたら神経の異常によって生じる痛みかもしれません。痛みは、身の安全のための危険探知の信号として誰もが感じるもので、原因を解消すればその痛みは通常おさまります。ところが、原因となる部分が治療しても痛みが持続する場合は、神経の異常が原因かもしれません。神経が障害されると「痛みの悪循環」(出典1)を起こしてさらに痛みが強くなる恐れもあります。神経の障害が元となる慢性痛は早期に治療を行うことが重要だと言われています。

慢性痛の種類

慢性痛にはいくつかの種類があり、神経の障害によって起こる痛みは神経障害性疼痛と言われています。神経は、皮膚、筋肉などの末梢から脊髄を通って脳に繋がっており、痛みの信号が脳に伝わることで痛みが感じられます。痛みが起こると、交感神経が刺激され、血流が悪化し、代謝異常が起こり、さらに痛みが増すといった「痛みの悪循環」(出典1)が起こります。慢性痛でも健康な組織を障害する痛みは、侵害受容性疼痛と言われています。また、心理的な問題によって起こる痛みは、心因性疼痛と言われています。痛みは、様々な要素が複雑に絡み合っていることが多く、適切な診断が重要です。

慢性痛の例

慢性痛は、以下のようなものがあります。

  • 腰下肢痛・・・脊柱管狭窄症などの脊椎疾患で神経を圧迫し、腰から足にかけての腰下肢痛を起こします。一般的には坐骨神経痛とも言われます。外科手術が成功しても、痛みが残る場合があります。
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  • CRPS(RSD・カウザルギー)・・・ちょっとしたケガなどから生じる激しい痛み。骨折、捻挫、打撲などをきっかけとして、手足の腫れ(浮腫)、皮膚の温度異常、異常な発汗などの症状を伴う慢性的な痛みです。
  • 帯状疱疹後神経痛・・・帯状疱疹は、ウイルスにより炎症が起こり、神経が刺激されます。疱疹が消えた後にも残る帯状疱疹後神経痛は、ウイルスが神経を傷つけたために起こるものです。
  • 脳卒中後の痛み・・・脳卒中の後に痛みが生じることがあります。これは、痛みの信号を感知する脳の部分が損傷したことによる場合と、長期間、体を動かさないでいたために末梢神経に異常が生じている場合があります。
  • 脊髄損傷・・・痛みの信号を脳へ伝えるための関門となっている脊髄が損傷してしまうことで痛みが生じます。
  • 幻視痛・・・手足を切断した後に、切断した手足があたかもあるように感じられ、その手足が痛く感じられるという現象です。
  • 末梢血管障害・・・閉塞性動脈硬化症(ASO)・バージャー病・レイノー病などで血行が悪くなり、痛みが生じます。症状が進むと潰瘍や壊死が起こるため、手足の切断を余儀なくされる場合があります。

 

出典

1.      Livingston, W. K. Pain mechanisms. New York: Macmillan, 1943.

本サイトの内容は、医師の診察に代わるものではありません。病状や治療に関しては、必ず主治医の診断を受けてください。