不正出血 子宮鏡での診断と治療について

不正出血について

世界中で約1億人の女性が不正出血に悩まされていると言われています。不正出血は治療できる疾患です。ホルモン療法から子宮全摘までの治療がある中、子宮鏡下手術はより低侵襲と言えます。

不正出血の主な原因は、子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫、子宮内妊娠組織遺残物(RPOC)とされています。

不正出血の主な症状

  • 月経期間外の出血
  • 月経の量が多い
  • 月経周期が38日間よりも長い、もしくは24日間よりも短い
  • 閉経後の出血

子宮内膜ポリープとは?

子宮内膜ポリープとは、子宮の内腔に発生するポリープです。病変の大きさや位置によっては不妊の原因になりうる疾患で、症状としては不正出血があげられますが、無症状の場合も多いです。

ポリープは通常良性ですが、悪性化のリスクは高齢化や閉経後の出血等により高まります。そのため、症状のあるポリープは診断の為に切除することを勧められます。1

子宮内膜ポリープ

子宮筋腫とは?

子宮筋腫とは、子宮筋層に発生する良性腫瘍であり、30歳以上の女性の20~30%に見られる疾患です2

発生部位や大きさによっては不妊や流産・早産の原因になりえます。3

  • 妊娠率が64%低減する
  • 出生率が69%低減する
  • 流産率が65%上昇する

子宮筋腫の種類

  • 漿膜下筋腫:子宮の外側
  • 筋層内筋腫:子宮の筋肉の中
  • 粘膜下筋腫:子宮の内側に突出

子宮筋腫の中で子宮鏡下核出の適応となるのが、子宮の内側に突出した粘膜下筋腫です。2022年4月の診療報酬改定4で不妊治療の一部が保険適用となり、不妊治療を受ける患者さんが増加する可能性が予測されており、子宮鏡下治療に対する注目も高まる可能性があります。

※保険適用に関する内容は、現時点での診療報酬改定の概要をご紹介するためのものです。算定要件・施設基準等の詳細については、厚生労働省から今後正式に発出される告示・通知等をご確認ください。

胎盤ポリープ・胎盤遺残(RPOC)とは?

胎盤ポリープ・胎盤遺残(RPOC)とは、流産あるいは分娩後の胎盤や卵膜等の子宮内妊娠組織遺残物の総称であり、産褥出血や痛み・発熱の主な原因となります。流産の後は通常子宮からの出血が伴うため、通常の出血か不正出血かの判断が難しいことがあります。

RPOCについて更に詳しく知りたい方は、患者さんのストーリーをご覧ください。

1

American Association of Gynecologic Laparoscopists (AAGL). AAGL practice report: practice guidelines for the diagnosis and management of endometrial polyps. J Minim Invasive Gynecol. 2012:19(1)3-10.

2

公益集団法人日本産婦人科学会ウェブサイト”産科・婦人科の病気>子宮筋腫” (参照:2022年6月) https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=8

3

Kovacs P. Effects of fibroids on women’s fertility. Medscape website. http://www.medscape.com/viewarticle/701937. Published April 29, 2009. Accessed on Jan. 31, 2017.

4

厚生労働省 不妊治療に関する取組https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/funin-01.html

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