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患者さんストーリー

支えられる側から、クローン病に悩む人を支える側へ

奥野 真由さん
会社員

10歳でクローン病を発症、3カ月間の入院を経験

私は幼少期から食べることが大好きで、同学年の友達と比べても身長が高く、体格も良い元気な子どもでした。ところが、小4の終わり頃から、風邪の症状はないのに38度超の発熱や、学校から帰るとうたた寝してしまう日々が続きました。また、食事量は減らしていないのに体重が減り、追い打ちをかけるように腹痛や血便などの症状も出てきたため、小児科を受診したところ、3つ目の病院でクローン病と診断されました。

そのまま入院し、厳密な食事療法や薬物療法などの治療を約3カ月間受けました。10歳で発症したこともあり、家族や医療従事者の判断で、退院直前まで敢えて病名は伝えられませんでした。おかげで私自身は病気をあまり意識せず、悲観的に捉えずに生きてこられたので、その判断にはとても感謝しています。幸いそれ以降大きな再燃はなく、寛解状態が続いています。

クローン病の発症当時、今ほど治療の選択肢が多くなく、一般的に知られている病気ではなかったことから、診断まで何年もの月日がかかる方も少なくなかったと聞きます。入院中は厳しい食事制限など、小学生にとっては少し辛い経験もしましたが、早期に診断がつき、しっかりと治療ができたことは、長い目で見ればとても運が良かったと思っています。

年1回はカプセル内視鏡で腸の状態をチェック

成長するにつれ、厳しかった食事制限も徐々に緩やかになっていきました。管理栄養士の先生の指導や、母の栄養管理のおかげで、現在は量さえ調整すれば食べられないものはありません。退院以来、大きな再燃はなく「自分は本当に病気なのか」と思うほど、いわゆる普通の生活ができています。

寛解状態が長いとはいえ、クローン病は継続的な治療が必要な病気です。そのため、現在も約2ヵ月に1度は通院し、定期的に経過をチェックしています。カプセル内視鏡は大学入学後に医師の紹介で初めて利用しました。事前に、カプセル内視鏡が消化管を問題なく通過できるかどうか確認したところ、特に問題がなかったため、医師と相談のうえ検査を受けてみることにしました。

実際やってみると、検査中の疲労も軽く自由に動けるので、それ以降年に1回程度受けています。定期的に受ける検査なので、心身の負担が軽いのはありがたいです。特に自覚症状はなくても、検査を通して炎症の痕跡などを確認すると、身が引き締まり、定期検査の重要性を実感します。

母が残してくれた治療ノートが病気に向き合うきっかけに

治療ノートを開く奥野さん

私が本当の意味で病気と向き合えたのは、診断から10年程経ち、母が記録してくれていた治療ノートを見たことがきっかけです。病気を発症した当時、私はまだ10歳で、自分では何も決められない年齢だったこともあり、治療はどこか他人任せでした。

しかし、高校、大学など進学に関する面接の場などで、自分の病気について何も語れない、何も知らないことが辛くて、自然に涙が出ることがありました。「当時のことを知りたい」と母に相談したところ、「あなたはいずれそう言い出すと思っていた」と、2冊のノートを手渡してくれたのです。

これは医師の説明に関するメモや、その時の気持ちなどを思いつくままに記した母の日記のようなノートです。クローン病と診断がつく前に「炎症性大腸炎」「過敏性腸症候群」の他、可能性は低いけれども「小児がん」の疑いもあると書かれているメモを見た時は、私もショックでした。それ以来、この話は今もよく母とするのですが、医師から初めて説明を受けた時の両親の心情を思うと、今でも胸が痛くなります。

ノートの他にも、当時の診断書や、管理栄養士の先生からいただいた資料をすべてまとめたファイルも渡されました。この資料を参考に毎日食事を用意し、給食を食べられない私に、中学2年生までお弁当を欠かさず学校に届けてくれた母への感謝の気持ちでいっぱいになりました。

ノートに書かれた内容について、さらにいろいろ話を聞くうちに、私への配慮だけでなく、病気の子どもを持つ母の悩みを聞き、相談に乗ってくれた学校関係者や、いつも明るい笑顔で接してくれた友人や家族など、自分がいかに多くの人に支えられて生きてきたのか、深く知ることができました。

病気は私の人生のオプションに過ぎない

自分の病気としっかり向き合えたことで、5~6年前からは患者会の活動も新たに始めました。今は同じ病気を抱える患者さんの相談に乗ったり、人前でお話をする機会をいただいたり、本当の意味で病気を受け入れることができたと感じています。

クローン病は20代を中心とした若年層に多い疾患ですが、同世代のスタッフがいない患者会が多いのが現状です。私のような若いスタッフがいることで「行ってみようかな」と思ってもらえたらいいなと思い、活動を続けています。

患者会の活動を通して、自分の想いを隠さずに話せる新しい仲間もできました。思えば、栄養学を学ぼうと思ったのも、患者会や仕事を通して人の役に立ちたいと思ったのも、すべてに共通しているのは病気の経験がきっかけということです。「病気になってしまった人生」ではなく、「たまたま病気のオプションが付いた私の人生」を歩みながら、今後も同じ病気を持つ人を支える活動に力を注いでいきたいです。

屋外で笑顔の奥野さん

*上記の患者さん体験談は、実在する患者さんに対し、メドトロニックがインタビューを実施し、書き起こしたものであり、疾患および治療に対する個人の感想となっております。他の方が同じ治療を受けた場合に、必ずしも同じような治療結果を得たり、感想をお持ちになることを保障するものではなく、個人差があることを予めご了承下さい。

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