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2024年10月24日
日本メドトロニック株式会社
日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、心室性頻脈性不整脈の治療に用いられる「Aurora EV ICD™ MRI デバイス」(以下、Aurora EV ICD MRI デバイス)「Epsila EV™ MRI リード」(以下、Epsila EV MRI リード)の薬事承認を2024年10月22日に取得いたしました。今後、保険診療下で治療を提供できるよう保険適用に向けた手続きを開始していきます。
Aurora EV ICD MRI デバイス 医療機器承認番号:30600BZX00218000
Epsila EV MRI リード 医療機器承認番号:30600BZX00219000
心臓の電気的系統に異常が生じ、規則正しい心臓の動きや脈拍が乱れてしまう状態を不整脈といいます。不整脈の中でも特に心室細動は、心臓がリズミカルに拍動できなくなり、心室の筋肉が不規則に興奮する状態で、心臓のポンプ機能が停止し、血液の流れが止まります。心臓のポンプ機能が停止してから3~5秒でめまいが起こり、5~15秒で意識を失い、3~5分続くと脳死に至ります。心室細動は自然に回復しないため、電気ショックで治療します。また、1分間に100回以上の拍動が3拍以上続く状態を心室頻拍と呼びます。この発作が起こると、心臓がポンプ機能を果たせず、脳への血流が減少し、めまいや失神を引き起こし、心不全の原因となることがあります。心室頻拍が続くと、心室細動に移行する場合もあります。このような不整脈での突然死を防ぐために、本邦では、既に致死性不整脈を経験された患者さん、今後そのような不整脈が起こる可能性が高い低心機能、または遺伝性の不整脈が起こりそうな患者さんに対して年間で約4,000台強の植込み型除細動器が新規に植込みされています。
植込み型除細動器は体内に植え込まれて、突然起こった心室細動や心室頻拍を自動的に検知し、電気治療を行って心臓の動きを正常に戻すものです。数センチ大の植込み型除細動器本体と、それにつながるリード線からできています。このたび製造販売承認を取得したAurora EV ICDは、胸骨下にICDリードを留置するこれまでにない画期的なシステムで、血管内にリードを留置する必要がないため、従来の経静脈ICDと比べて低侵襲な植込み機器です。本製品は、従来の経静脈ICDと同様のサイズ、形状、電池寿命を持ちます。血管外に留置する植込み型除細動器として、唯一、抗頻拍ペーシング(ATP)を用いて致死性頻脈性不整脈の治療を行い、一時的な心静止時にも心休止バックアップペーシング治療を提供します。
国立循環器病研究センター不整脈科の部長であり、EV ICD Japan Studyの責任医師の草野 研吾先生は、「Aurora EV ICD MRI デバイスとEpsila EV MRI リード(以下、Aurora EV ICD MRI システム)は、従来の経静脈ICDと同じサイズでありながら、血管外に留置することで血管内の合併症リスクを低減します。更には、ATP治療を送出できることにより、ショック治療を回避しながら致死性不整脈を効果的に治療できる点も大きな利点です。これにより、患者さんの負担やQOLの低下を防ぐことができ、ICDデバイスを必要とする患者さんに大きな恩恵をもたらすことが期待されます。」と述べています。
カーディアックリズムマネジメント・バイスプレジデントの芳賀 聡は、次のように述べています。「今年で設立75周年を迎えたメドトロニックは、これまでにリードレスペースメーカをはじめとする様々なイノベーティブな製品を開発してまいりました。Aurora EV ICD MRI システムもその一つであり、その製品を日本の患者さんにお届けし、新たな選択肢を提供できることを大変うれしく思います。」
【ICDとは】
ICD(植込み型除細動器)は体内に植え込まれて、突然起こった心室細動や心室頻拍を自動的に検知し、電気治療を行って心臓の動きを正常に戻す機器です。最初はペースメーカのような刺激を出して、発作が止まらなければ弱い電気ショックによる治療を行い、それでも止まらなければ、より強いエネルギーに切り替え治療を行います。
【Aurora EV ICD MRI システムとは】
本システムは、従来の経静脈ICDと同じサイズ、形状、電池寿命を持っていますが、従来のICDとは異なり、左脇の下(左中腋窩領域)に植え込まれ、リードは胸骨の下に留置されます。この方法は、最小限の侵襲で行われます。Epsila EV MRIリードは、心臓や静脈血管の外側に留置されるため、これまで経静脈ICDで課題とされていた血管損傷や血管閉塞(静脈の狭窄、閉塞、圧迫)などの合併症を避けることができます。