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2024年3月1日
日本メドトロニック株式会社

日本メドトロニック
国内初、橈骨動脈穿刺アプローチ専用に設計されたガイディングカテーテル1
「Rist™ ラディアルアクセス ガイディングカテーテル」を発売

―脳血管内治療における新たな治療アクセスの選択肢に―
 

日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、脳血管治療における橈骨(とうこつ)動脈穿刺アプローチ専用のガイディングカテーテル「Rist™ (リスト)ラディアルアクセス ガイディングカテーテル」(以下、Rist )の販売を3月1日より開始いたします。Rist の登場によって手首にある橈骨動脈からカテーテルを挿入することが可能になり、脳血管内治療の主流である大腿動脈からの穿刺アプローチと並ぶ新たな治療アクセスの選択肢を提供するものです。

Rist™ ラディアルアクセス ガイディングカテーテル

(販売名:Rist ラディアルアクセス ガイディングカテーテル/承認番号:30500BZX00178000)

 

脳血管疾患は脳卒中とも呼ばれ、血栓などにより脳の血管が詰まり血流が途絶えてしまう虚血性脳血管疾患(脳梗塞)と、血管が破れて出血する出血性脳血管疾患(脳出血、くも膜下出血)に大別されます。厚生労働省の「令和2年 (2020) 患者調査」によると、脳血管疾患を有する患者数は日本国内に174万人2いるとされ、2021年の死因の第4位となっています 。意識障害、運動障害、知覚麻痺などの症状を引き起こし、代表的な既存療法は開頭外科手術および血管内治療(カテーテル治療)です。
血管内治療は、カテーテルを挿入し標的血管まで送達させ、カテーテルを介して治療するため、外科的手術と比較して患者さんの負担が小さいこと、手術時間が短いことが利点です。

血管内治療は、太ももの大腿動脈からカテーテルを挿入する方法(以下、TFA)と、手首の橈骨動脈からカテーテルを挿入する方法(以下、TRA)の代表的な2つの手段があります。外科的手術と比較して低侵襲な治療であるものの、TFAに起因する臨床課題がいくつか知られています。

TFAで穿刺する大腿動脈は、体表から比較的容易に穿刺できる太い動脈であるため、カテーテル治療に用いる太いカテーテルを無理なく挿入できる利点がある一方で、大腿動脈は血流量が多いため、止血に時間を要し、術後数時間はベッドで安静が必要となります。また穿刺部の出血性合併症を起こすリスクがあります。体表ではなく皮下内で出血が広がった場合には、出血量が多くても体表からの観察では出血の存在がわかりにくく、重篤な状態となることもあるなど、TFAによる術後管理には課題が存在しています 。

橈骨動脈から穿刺するTRAは、止血が容易であり、術直後の行動に制限がない点で有用であるとされています。橈骨動脈は浅層にあり、骨を挟むことで圧迫止血がしやすく、血腫ができるスペースが少ないため、止血処置は手首に止血バンドを巻くのみで良く、患者さんは車椅子に乗って帰室でき、早期歩行も可能となります。ベッド上の安静時の体位に制限が無いため、すぐに帰室できることで、手術室での時間のロスも少なく、介助負担も小さいことが利点です。TRAは穿刺部の出血性合併症リスクの低減、手術における患者さんの負担低減、入院日数の短縮などに寄与することが期待されています。

血管内治療(カテーテル治療)橈骨動脈アプローチ(TRA)による穿刺
血管内治療(カテーテル治療)橈骨動脈アプローチ(TRA)
血管内治療(カテーテル治療)大腿動脈アプローチ(TFA)による穿刺
血管内治療(カテーテル治療)大腿動脈アプローチ(TFA)

Ristは、脳血管内治療において初めてとなるTRA専用のガイディングカテーテルです。ガイディングカテーテルとは、血管内治療における足場となる役割を果たすカテーテルで、ガイディングカテーテルの中に、治療デバイスを送達して治療を行います。脳血管内治療におけるTRAでは大動脈弓などの急峻な屈曲を有する血管を経由する必要があり、従来のガイディングカテーテルでは標的部分までの送達が難しいという課題がありました。Ristは急峻な血管内をスムーズに追従しカテーテルを標的部位まで送達する誘導性、カテーテルが折れにくく内腔がつぶれずに維持されること(内腔維持性)、血管内の屈曲部においても治療用機器の操作を補助するサポート性を兼ね揃えるように考えられた製品です。

右橈骨動脈→右総頚動脈
鎖骨下~腕頭動脈を通過する急峻なアクセス

血管内治療(カテーテル治療)橈骨動脈アプローチ(TRA):右橈骨動脈→右総頚動脈、鎖骨下~腕頭動脈を通過する急峻なアクセス

右橈骨動脈→左総頸総頚動脈
大動脈弓を通過する急峻なアクセス

血管内治療(カテーテル治療)橈骨動脈アプローチ(TRA):右橈骨動脈→左総頸総頚動脈、大動脈弓を通過する急峻なアクセス

神戸市立医療センター中央市民病院脳血管治療研究部 部長 坂井信幸先生は「本品は橈骨動脈アプローチ用デバイスとして新機能区分(C1)で保険収載されます。これはアクセスデバイスとしては大変画期的なことです。現在、穿刺部位として最も採用されている大腿動脈アプローチ(TFA)に加えて、本品の登場により橈骨動脈アプローチ(TRA)が選択しやすくなることで、治療の幅が広がり、脳血管内治療の発展にも寄与する可能性があると考えます。」と述べています。

兵庫医科大学 脳神経外科 主任教授 兼 日本脳神経血管内治療学会 理事 吉村 紳一 先生は「近年、脳血管内治療において手首の血管からカテーテルを挿入して行う橈骨動脈アプローチ(TRA)が注目されています。これは、脚の付け根の動脈から行う大腿動脈アプローチ(TFA)と比べて止血が容易で、重篤な穿刺部合併症が少ないためです。また、術後のベッド上安静が短縮されるため、術後経過も良好とされています。TRAで脳血管にアプローチする場合には、急峻にカーブする血管を経由する必要がありますが、本品は柔軟で折れ曲がりに強い特性を有しており、TRA 専用ガイディングカテーテルとして、治療合併症の低減や、入院期間、術後回復期間の短縮につながることが期待されます。」と述べています。

今後もその患者数が増加すると言われている脳血管疾患に対し、メドトロニックは革新的なソリューションを通じて、脳卒中治療の発展に貢献してまいります。

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ガイディングカテーテルとは、血管内治療における足場となる役割を果たすカテーテルで、ガイディングカテーテルの中にカテーテルや治療デバイスを送達します

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厚生労働省「令和2年(2020)患者調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html

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