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2020年12月22日
日本メドトロニック株式会社
―脳波に応じた脳深部刺激出力の自動調整機能搭載は世界に先駆けて薬事承認取得―
日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、脳深部刺激システム「メドトロニックPerceptTM PC」(パーセプト ピーシー、以下Percept PC)が2020年12月より保険適用となりましたことをお知らせします。また、Percept PCに搭載された、関連する脳波に応じて脳深部刺激出力を自動調整するaDBSTM*(エー ディービーエス、以下aDBS)機能が世界に先駆けて日本で初めて薬事承認されました。
*aDBSの「a」はadaptive (適応性のある)を表しています。
脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)は、小さなペースメーカのような機器を前胸部皮下に植込み、脳深部に留置した電極から微弱な電気刺激を送ることで、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の運動症状(手足のふるえや体の動かしにくさ)を改善する治療法です。
Percept PCは、従来の脳深部刺激に加え、同時に、脳波の一種であるLFP(Local Field Potential:局所フィールド電位)を長期的に測定・記録することができるBrainSenseTM(ブレインセンス)機能を搭載しています。
「メドトロニックPerceptTM PC」(承認番号:30200BZX00163000)
販売名:NIMシステム3.0 (医療機器認証番号:221ACBZX00103000)
脳内におけるLFPの変化は、パーキンソン病の運動症状と相関することが報告されており、この機能により、LFPをバイオマーカーとする客観的なデータに基づいて、それぞれの患者の症状変化に応じた適切な治療を医師が選択できる可能性があります。
さらにPercept PCには、このBrainSense機能に加え、aDBS機能を搭載しています。aDBS機能は、BrainSense機能で測定したLFP強度の変化に応じて医師が予め設定した範囲内で刺激出力を自動調整する機能です。つまり、症状が出ていると考えられるときには刺激の出力を上げ、逆に、症状が出ていないときには出力を下げるなど、症状の変化に関わらず一定の持続的刺激を行っていた従来のDBSに比べ、より患者の状態に応じた治療を実現できる可能性があります。また、必要十分な刺激で治療を行うことにより、副作用が軽減される可能性も期待されています。
本製品は、欧州で今年1月より、また米国でも7月に販売開始いたしましたが、BrainSense機能のみに限定されており、刺激の出力を自動調整するaDBS機能については、2020年12月現在日本でのみ薬事承認取得となっています。
順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科の服部信孝教授は次のように述べています。
「従来のDBSでは、都度マニュアルで刺激出力を変更していましたが、Percept PCによって、患者さんの脳の状態に合わせて、DBSの刺激出力を変えることができる可能性があります。寝ているとき、起きているとき、薬が効いているとき、薬が効いていないときのそれぞれの患者さんの状態に合わせて、自動的に刺激出力を変更することができ、患者さんはそれぞれの状態にあった刺激出力で、一日を過ごすことができるかもしれません。このaDBSは日本が世界に先駆けて承認されている機能なので、我々が次世代DBSへの移行をリードしていきたいと考えています。このPercept PCを用いて、患者さんによりよい生活を迎えてほしいと思います。」
Percept PCは、BrainSense機能とaDBS機能に加え、DBS治療の分野では初めて3Tの条件付きMRI撮像が可能となりました。今までの1.5Tの条件付き全身撮像に加え、3Tの条件付き全身撮像にも対応しています。また、人間工学に基づいて丸みを帯びたデザインとなり、当社従来品のアクティバPC**と比べ小型化・薄型化しました。
さらに、DBSでは植込んだ機器の定期的な電池交換が必要ですが、機器の具体的な電池寿命を予測するスマートバッテリー機能により、電池交換の計画が立てやすくなると考えられます。
**アクティバPC 医療機器承認番号:22800BZX00343000