2020年1月23日
日本メドトロニック株式会社

報道関係者各位

日本メドトロニック
下肢静脈瘤治療用デバイス「VenaSealTM クロージャー システム」が
保険適用され、販売を開始

静脈内にカテーテルを使用して生体接着材を注入し、血管を閉塞する
低侵襲な新しい治療法

日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、下肢静脈瘤の治療に用いる医療機器として「VenaSealTM クロージャー システム(ヴェナシール クロージャー システム、以下 VenaSeal クロージャー システム)」の保険適用に伴い、2019年12月より順次販売を開始いたしました。

VenaSeal™ クロージャー システム

VenaSeal™ クロージャー システム
(販売名:VenaSeal クロージャー システム 承認番号:23100BZX00111000)
製造販売元:コヴィディエンジャパン株式会社

VenaSeal クロージャー システムは、一次性下肢静脈瘤i治療のための新しい治療機器です。専用のカテーテルを治療する血管内に挿入し、脳血管や食道胃静脈瘤などの治療に使用されているシアノアクリレートをベースに独自開発した下肢静脈専用の接着材を注入して血管を閉塞します。臨床試験において治療後3年で94.4%の閉塞率が報告されています*1-4。本治療法は、血管径12mm以下の大伏在静脈及び小伏在静脈に深部静脈閉塞を伴わない一次性下肢静脈瘤を有する患者さんが対象となります。

VenaSeal クロージャー システムは、熱による血管収縮を機序とする血管内焼灼術と比べて、熱焼灼による皮膚や神経障害など、周辺組織への影響や痛みが少ないといった低侵襲性が大きな特長です*5。また、血管内焼灼術では合併症の予防や対策として必須であったTLAii麻酔が、本治療法では不要となるため、麻酔浸潤時の痛みの軽減も期待できます。

下肢静脈瘤の専門医の方々は次のように述べています。

社会医療法人 福島厚生会 福島第一病院 院長 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施管理委員会 委員長 小川 智弘先生

「現在、下肢静脈瘤の治療法は血管内焼灼術が主流となっていますが、熱を使用するため、治療部位や対象患者によっては合併症を生じることがありました。熱を用いない新しい治療が、保険で受けられるようになることで、治療の選択肢が広がり、より低侵襲な治療法の提供が患者さんへ可能になると考えます。」

お茶の水血管外科クリニック 院長 広川 雅之先生 

「TLA麻酔が不要になるというのは、患者さんにとって大きな利点となります。麻酔浸潤時の痛みがなく、弾性ストッキングの着用などの術後圧迫も必要なくなるため、患者さんの術後の制限はなくなることが期待できます。」

なお、VenaSeal クロージャー システムを使用した治療法は、日本静脈学会、日本脈管学会、日本血管外科学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会、日本皮膚科学会および日本形成外科学会によって構成される、「下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会」が定める施設基準および実施医基準に適合しており、かつ、当社が実施する所定のトレーニングを受けた認定医により提供されます。

【VenaSeal クロージャーシステムによる治療法】

VenaSeal クロージャーシステムによる治療法

【下肢静脈瘤とは】

下肢静脈瘤は足の血管の病気です。下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。静脈の中にある血液の逆流を防ぐための弁が壊れ、血液が下肢に溜まってしまうことで、足のだるさやむくみなどの症状が慢性的に起こります。重症化すると湿疹や色素沈着などがあらわれ、さらに悪化すると潰瘍になる場合もあります。

下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあります*6。また、出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータ*7も存在します。

*i 一次性下肢静脈瘤:主に静脈弁不全により、静脈血逆流が生じ、血液のうっ滞による症状(静脈瘤など)が起こる疾患

*ii TLA:Tumescent Local Anesthesia(低濃度大量浸潤麻酔)。低濃度に希釈した局所麻酔薬を指す。

*1 Almeida JI, Jacier JJ, Mackay EG, Bautista C, Cher DJ and Proebstle TM. Thirty-sixth-month follow-up of first-in-human use of cyanoacrylate adhesive for the treatment of saphenous vein incompetence. JVS: Venous and Lymphatic Disorders. 2017;5(5):658-666

*2 The European Multicenter Study on Cyanoacrylate Embolization of Refluxing Great Saphenous Veins without Tumescent Anesthesia and without Compression Therapy. Results presented at: Charing Cross; 2016; London, UK.

*3 Morrison N, et al. Comparison of cyanoacrylate closure and radiofrequency ablation for the treatment of incompetent great saphenous veins: 36-Month outcomes of the VeClose randomized controlled trial. Phlebology; 2019, Vol. 34(6) 380-390

*4 Morrison, N. VenaSeal Closure System vs. Radiofrequency Ablation for Incompetent Great Saphenous Veins (VeClose). 60 Month Results presented at: CX; April 23,2019; London, UK

*5 Morrison N, Gibson K, McEnroe S, et al. Randomized trial comparing cyanoacrylate embolization and radiofrequency ablation for incompetent great saphenous veins (VeClose). Journal of Vascular Surgery. 2015;61(4):985–994

*6 平井正文,久保田仁,川村陽一他 脈管学28:415-420,1989

*7平井正文, 牧篤彦, 早川直和: 妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261,1997

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