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2019年12月3日
日本メドトロニック株式会社
報道関係者各位
~チャレンジ申請初の適用~
日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、独自のアルゴリズムにより心房細動のリズム変化を検出して抗頻拍ペーシングを繰り返し送出するReactive ATPTM機能(リアクティブ エーティーピー、以下 Reactive ATP)を持ったデュアルチャンバペースメーカについて、保険医療材料制度において新たに設けられた再評価制度(「チャレンジ申請」)により2019年12月に機能区分の新設と新たな保険適用が認められたことをお知らせいたします。これは、「チャレンジ申請」により再評価された初の事例となります。
メドトロニック社製 デュアルチャンバペースメーカ
これまで機能区分新設の審査は、新製品上市に伴う保険適用希望時だけに実施されていました。イノベーションを評価するため、既に保険適用となっている製品に対し、上市後の使用成績を踏まえてその製品の有効性について再評価を希望する制度「チャレンジ申請」が、2018年4月に新設されました。これを受けて当社は、Reactive ATP機能使用群では未使用群と比べて頻拍不整脈の進行が抑制されたことを示したMINERVAスタディ1などの臨床的根拠を用い、Reactive ATP機能に対し機能区分の新設希望を申請いたしました。これが認められ、今回新たに「デュアルチャンバ(V型)」という機能区分が設立されました。
AOI国際病院 不整脈先端治療センター長の平尾見三先生はReactive ATP機能の意義について次のように述べています。「心房細動(Atrial Fibrillation 以下、AF)は通常、発作性と持続性に二分別されますが、近年、AFの持続時間と出現頻度を合わせたAFバーデンと、QOL、死亡率をはじめとする予後が相関することが知られてきました。従来、このAFバーデンを減らす治療として薬剤、カテーテルアブレーションの二つしかありませんでしたが、メドトロニック社の植込み型デバイスのReactive ATP機能によって『AFを早期に停止=AFバーデンを軽減』することが期待できるようになりました。第3のAF治療となる新たな選択肢として、新たに保険適用されたことは喜ばしいことです。」
Reactive ATP機能は、独自のアルゴリズムによりAFを含む上室性頻拍(以下、エピソード)のリズムおよび規則性の変化を検出し、それに合わせて自動的に繰り返し抗上室性頻拍ペーシング(A-ATP)を送出する機能です。長いエピソードをより確実に止めることができるよう、大きく分けて以下の2 種類の特長を持っています。
■ タイムインターバルのペーシング
抗上室性頻拍ペーシング(A-ATP) によってエピソードが止まらなかった場合に、一定の時間(エピソードの初期検出からの経過時間)が経過したのちに再度A-ATP を発出する機能です。これまでは、一度のペーシングでエピソードが停止せずに持続した場合において、それ以上、ペーシングを施すことはできませんでしたが、この機能により設定時間が経過すれば再度ペーシングを送出することが可能となります。
■ リズム変化の検出
心房リズムの規則性とサイクル長の変化(リズム変化)を検出します。AT/AF (心房頻拍/心房細動)検出ゾーンは一連の狭い領域に細分され、AT/AF 検出ゾーンに対してプログラムされたATP 治療は細分された個々の領域に適用されます。エピソード持続中にリズムが変化することが知られており、停止しやすいAT/AFサイクル長に変化した時に再度ペーシングを実施することでエピソードが収まり、AFバーデンを減らせることが示されています。
【ペースメーカとは】
ペースメーカは徐脈性不整脈(以下、徐脈)に対する治療機器です。ペースメーカは心臓を24時間監視しながら、必要に応じて人工的に電気を発し、心臓の働きをサポートするものです。ペースメーカは全世界で毎年60万人以上の患者さんに使用され2、持続性の徐脈に対する効果的な治療法として確立しています3。
【徐脈性不整脈ついて】
徐脈性不整脈は、不整脈の一つで、脈が遅くなる不整脈のことです。徐脈になると、脳や全身に必要な血液が十分にいきわたらなくなり、安静時や軽い労作時でも、めまいや息切れを起こすことがあります。徐脈は心筋梗塞や心筋炎など別の心臓病により引き起こされる場合もありますが、多くは単独で発症し、心筋や弁には異常がないにもかかわらず心臓の拍動のリズムだけがきわめてゆっくりしているという症状で現れます。
【心房細動とは】
心房細動(AF)は最も発症率の高い不整脈の一つで、日本では現在100万人を超える患者さんがいると言われており4、心房細動の発症リスクは加齢とともに増加します5。また、心房細動の患者さんでは、脳梗塞や心不全の発症リスクが高まることも報告されています6,7。心房細動の症状には、脈の乱れ、胸部の不快感、胸の痛み、動悸、息苦しさ、運動時の疲労感、めまいなどが挙げられますが、半数程度の患者さんは自覚症状がないとも言われています8。
【チャレンジ申請とは】
2018年4月より使用実績を踏まえた評価が必要な製品に対して新たにイノベーションを評価する制度としてチャレンジ申請制度が導入されました。保険医療材料には、長期に体内に埋植するものや、革新性の高い技術を伴うもの等があり、保険収載までの間に最終的な評価項目を検証することが困難な場合があることから、製品導入時には評価できなかった部分について、使用実績を踏まえて保険収載後に新規機能区分の該当性について再度評価を申請できるようになりました。
(参考:厚生労働省保険局医療課 「平成30年度 保険医療材料制度改革の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197552.pdf)
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